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青丘文庫研究会月報<199号> 2005年10月1日

青丘文庫研究会 〒657-0064 神戸市灘区山田町3-1-1 ()神戸学生青年センター内

 TEL 078-851-2760 FAX 078-821-5878 http://www.ksyc.jp/sb/ e-mail hida@ksyc.jp

 @在日朝鮮人運動史研究会関西部会(代表・飛田雄一)

 A朝鮮近現代史研究会(代表・水野直樹)

郵便振替<00970−0−68837 青丘文庫月報>年間購読料3000

     他に、青丘文庫に寄付する図書の購入費として2000円/年をお願いします。==========================================================================

PDFファイル版

●青丘文庫研究会のご案内●

 

■第276回在日朝鮮人運動史研究会関西部会

10月9日(日)午後1時〜3時

「田川市の国籍書き換え問題(仮題)」李敬史

 

■第236回朝鮮近現代史研究会

10月9日(日)午後3時〜5時

 「北朝鮮帰還事業実施への道程と日本政府の役割」黒河星子

 

※会場 神戸市立中央図書館内 青丘文庫

  神戸市中央区楠町7-2-1 TEL 078-371-3351(地下鉄大倉山駅下車すぐ、JR神戸駅北10)

 

●第274回在日朝鮮人運動史研究会関西部会

第2回日韓共同学術会議・参加記−2005年8月6日(土)〜7日(日)

会場:韓国釜山海雲台B&Bホテル 051-742-3211

主題:韓日(日韓)関係史における在日朝鮮人の存在意味   宇野田 尚哉

 

 去る8月6日・7日の両日,釜山において,第2回日韓歴史研究者共同学会が開催された.全体のテーマは「在日韓国人・日韓関係歴史の再検討」で,乙巳条約100年・敗戦/解放60年・日韓条約40年という省みるべきことの多いこの年にふさわしい企画であった.第2回というのは,2003年7月に滋賀県立大学で行われた第1回に続く第2回ということであり,今回も,第1回と同様,韓国の韓日民族問題学会と日本の在日朝鮮人運動史研究会との研究交流が企画の基本をなしていたといってよいだろう.また,霊山大学校国際学研究所の行き届いた配慮のおかげで,ほかのことにわずらわされることなく議論し交流を深めることができた.

 発表者・発表題目と討論者を紹介しておくと,第1主題「戦後日本と戦没者遺骨問題」(発表南相九氏,討論飛田雄一氏),第2主題「朝鮮人徴兵制度の実態」(発表塚崎昌之氏,討論崔鐘吉氏),第3主題「敗戦前後時期日本の渡日朝鮮人規制政策」(発表金廣烈氏,討論樋口雄一氏),第4主題「朝鮮女子勤労挺身隊の動員の鉄鋼業への男子朝鮮人の動員との比較検討」(発表山田昭次氏,討論尹明淑氏)であった.初日は午後2時開会で,予定の時間を超えて活発な討論がなされた.

 二日目は,バスを借り切って,釜山大学の車徹旭氏(次頁写真)の案内で,釜山の史蹟を巡った.まずは東?で東?別荘・望美楼・独鎮大衙門・金剛公園を巡ったあと,臨時首都記念館を訪れた.閑静な住宅街という感じの場所にある現在の記念館から,釜山が臨時首都となり現在の記念館が大統領官邸であった朝鮮戦争当時(19501953)を想像するのは難しかった.案内してくださった車徹旭氏は,寶水洞の古本街の由来など,たいへん丁寧に説明してくださったのであるが,なにぶん私の語学力が乏しく,十分に理解できなかったのが残念であった.

 

 私のような,自分の専門がこのセミナーのテーマと直接重なるわけでない者にとっては,初日の議論を批判的にまとめることは難しいが,初日の議論を通じて感じたことを1点だけ記しておきたい.それは,日韓の温度差,ということである.韓国では2000年代に入って「過去清算」の動きが立法措置をも伴いながら急速に進展したが,韓国側の報告・討論はいずれもそのような韓国の現状に深く根ざしながらさらに1歩を進めようという姿勢に貫かれていたように思う.そのことが生みだす独特の熱気に,どちらかといえば逆風のほうが強い日本からの参加者はややたじろぐ面があったのではないか,というのが,私の率直な印象である.日本でも「強制動員真相究明ネットワーク」が立ち上げられるなど,韓国での動きに連動した動きがあることは私も承知しているが,韓国での動きにどう連携しどう応答するのかということが厳しく問われているのではないか,という感を強く持った.

 二日間のあいだ,折に触れて,第3回は数年後に東京で,という話が出た.遠くない将来にこのような貴重な交流の機会がまた設けられることを願ってやまない.

 

■神戸学生青年センター・朝鮮史セミナー・2005年

日韓最新事情―「韓流」の源をたどって―

講師 神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程・山地久美子さん

 

<講師紹介>やまじ くみこ/東京生まれ、神戸育ち。大学を卒業し企業勤務・退職の後、渡米。ハワイ大学社会学科卒業(第二学士)。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士前期課程修了。現在、同博士後期課程在籍、国立民族学博物館特別共同利用研究員。韓国保健社会研究院客員研究員(2003年)研究テーマ:福祉国家論を社会学の立場から考察・分析を行う。主たる研究対象は、日本・韓国・スウェーデン・アメリカ。これまでに日本の女児選好と韓国の男児選好を切り口に社会保障制度と家族政策の関係について研究を進める。論文:「新社会運動としての戸主制廃止運動─現代韓国における男児選好と民法改正運動」「韓国の新人口政策」など

 2005年10月26日(水)午後6時30分

 会場:神戸学生青年センターホール TEL 078-851-2760

 (阪急六甲下車徒歩3分、JR六甲道下車徒歩10分)

 参加費:600円(学生300円)

 

■「朝鮮人強制連行」の現在

(1)全国強制労働現場一覧表を作成して

     人権平和・浜松、朝鮮人強制連行史研究家 竹内康人さん

※竹内さんは、長年の調査活動の集大成として自身のホームページに現場一覧表を発表されました。http://www16.ocn.ne.jp/~pacohama/sensosekinin/flaber0506.html その現場は、2,679カ所となっています。

 

(2)兵庫県の朝鮮人強制連行  兵庫朝鮮関係研究会 金慶海さん

※金慶海さんは、兵庫朝鮮関係研究会創立メンバーのひとりで、『鉱山と朝鮮人強制連行』(明石書店)『在日朝鮮人90年の軌跡』(神戸学生青年センター出版部)などに県下の朝鮮人強制連行にかんする論文を多く書かれています。

 11月19日(土)午後2時

 会場:神戸学生青年センターホール 

 参加費:600円(学生300円)

 ※「強制動員真相究明ネットワーク」 兵庫集会として開催します。

 

【今後の研究会の予定】

11月13日、在日未定、近現代史・伊地知紀子、12月11日、2006年は、1月8日

※研究会は基本的に毎月第2日曜日午後1〜5時に開きます。報告希望者は、飛田または水野までご連絡ください。

 

【月報の巻頭エッセーの予定】

2005年11月号以降は、太田修、金森襄作、金隆明、福井譲、藤井幸之助・・・。よろしくお願いします。締め切りは前月の10日です。

 

<編集後記>

           飯沼二郎先生が924日に亡くなられました。青丘文庫の朝鮮近現代研究会は、飯沼先生と姜在彦先生が指導してくださっていた1970年代の京大人文研の研究会からスタートしています。本当にずいぶん昔の話ですが。神戸新聞に掲載された(おそらく共同通信配信)の鶴見先生の追悼文を転載させていただきました。

           釜山セミナーの報告を宇野田さんにお願いしました。飛田も、『むくげ通信』212号に簡単な報告を書いています。研究会、フィールドワークとも、とてもいい交流の機会でした。

           青丘文庫研究会の会員証・2005年版を遅くなりましたが、会員の方に本号とともに発送します。月報購読料(3000円/年)をお支払いの方にお送りします。学生のメールニュース会員は例外です。/また暑い神戸から。飛田雄一 hida@ksyc.jp

 

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