新日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)と有事立法に反対する声明

 日本キリスト教協議会(NCC)は、戦後五十年に際し、日本のキリスト教界の「戦争責任・戦後責任」に関する声明を出しました。第32回総会期テ−マ「歴史への責任−共生をめざして」の継続課題として、第33回総会期には「壁を壊して共生を−エキュメニカル運動の新しい地平を求めて」を挙げました。NCCに連なる日本のキリスト教界は、過去の罪責を告白し、神とアジアの人々に赦しを乞い、多民族、多文化共生の社会を望みつつ、イエス・キリストから託された平和の福音を掲げて、これを妨げる壁を取り除く課題を共に担おうと活動してきました。今年4月に「新ガイドライン」に伴う関連法案の閣議決定は、共生を阻む大きな壁として、今、私たちの前に立ちはだかっています。

 1997年9月、「新ガイドライン」が日米両政府により合意されました。それに伴い1998年4月、日本政府は「周辺事態法案」「自衛隊法改正案」「日米物品役務相互提供協定改定案」を閣議決定しました。1996年4月、日米安保共同宣言を契機に策定された「新ガイドライン」は、日米安保条約の限界を踏み越えて、米国追従型の新安保体制を構築するものであるばかりでなく、民主主義、基本的人権の尊重、戦争放棄を柱とする平和憲法を大きく切り崩すものに他なりません。憲法第九条は日本が世界に誇れる平和のアピ−ルです。私たちはこの憲法第九条を世界の人々に発信し、和解と連帯の努力を重ねてきた反面、様々なかたちで起こってきている憲法第九条の形骸化に対し、十分な取り組みができませんでした。この反省に立ち、私たちは平和と共生をつくり出す者として、この「新ガイドライン」という壁を取り除く決意を新たにします

「新ガイドライン」は憲法第九条にそむくものであり、撤回されるべきです。憲法の国際協調主義の具体化に向けて、真の民主主義と基本的人権を共有する新たな日米関係に転換すべく、NCCはこの「新ガイドライン」関連法案の閣議決定に強く 抗議し、即時撤回を求めて活動していくことを表明します。

1998年5月14日

日本キリスト教協議会

議長 徳善義和

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-24

<第33総会期第6回常議員会決議>

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